『メンデルの法則』について

『メンデルの法則』をご存じでしょうか? 中学校では、3年生になって理科の授業で登場する遺伝に関する法則です。そして、この遺伝の法則性について気付いたのが「メンデル」という人なのです。

さてこのメンデルですが理科の教科書にも顔写真が載ってますが、なかなか男前な顔立ちをしております。理科の教科書に載るくらいですからメンデルは科学者だったのかというと実は違うのです。メンデルの職業は牧師さんだったのです。ではなぜ牧師さんが遺伝の法則を発見するに至ったのでしょうか?

その理由は何かというと、メンデルは教会の庭の片すみで『エンドウ豆』を育てていたのです。さらにメンデルの趣味は数学で、特に統計学に興味を持っていました。そこで、メンデルは育てたエンドウ豆を統計的に処理して、その記録をずっと残していったのです。ですから、どちらかというとメンデルは数学者であると言ったほうがいいのかもしれません。

そして、メンデルは数学者であったが故に『メンデルの法則』を見つけ出すことが出来たのです。どうゆう事かと言うと、統計学の考えに『誤差』という非常に面白い考えがあります。一般的には数学というのは答えが一つで、少しでも違っていればそれは間違いになります。

しかし統計学では『誤差』という考え方があり、わずかな違いには「目をつぶろう」というのです。この考え方をメンデルは持っていたのです。生物を取り扱う場合、「きっちりとそうなる」というのは非常に珍しいことです。

例えばエンドウ豆が1000個あったとします。このエンドウ豆には緑色の豆と黄色の豆が混ざっており、その比が3:1になるとします。このとき、緑色の豆は750個で、黄色の豆は250個になります。ただ、実際には緑色が763個で、黄色が237個だったりするわけです。このように生物とは非常にファジー(いいかげん)な存在なのです。もしメンデルが科学者であったら、やはり『メンデルの法則』を見つけ出すことはなかったのではないかと思います。数学好きの牧師さんが理科の教科書に載っているのは、こういった経緯があるのです。